2026年の現在、ゼロゼロ融資の返済が進み、金融機関の審査姿勢はかつてないほど「事業の継続性」と「キャッシュフローの質」をシビアに評価するようになっています。
フランチャイズ(FC)への加盟を検討する際、多くの事業主が最初に直面する壁が「融資」です。
実は、1億円を超える投資が必要な大型FCと、2,000万円以下で始められる小規模FCでは、銀行員がチェックしているポイントも、融資を引き出すための「攻略法」も全く異なります。
今回は、銀行の担当者が口には出さない、FC規模別の融資戦略の裏側を解説します。
1. 大型FC(1億円超):銀行にとっての「安定した運用先」

コメダ珈琲店などの大型路面店を構えるFCは、銀行にとって「貸したい」案件の筆頭です。なぜなら、数十年続くブランドには膨大な過去データがあり、売上の予測精度が非常に高いからです。
銀行員の視点:
・本部の信用力 = 事業の半分: 個人の経営能力以上に、「この本部が倒れることはないか」というブランドの歴史を重視します。
・担保の重要性: 1億円を超える融資には、経営者の自宅や親族所有の不動産など、強力な担保を求められるのが通例です。
融資を引き出す秘策:
銀行員には「長期安定性」を強調してください。「短期間で儲かる」という話よりも、「15年かけて地域インフラとして根付く」という計画の方が、大型融資の審査では評価されます。また、本部に用意された「融資パッケージ(銀行との提携プラン)」を活用することで、プロパー融資よりも有利な金利条件を引き出せる可能性が高まります。
2. 小規模FC(2,000万円以下):銀行が恐れる「流行リスク」

5坪〜10坪で展開するテイクアウト専門店や、省人化されたサービス業などの小規模FCは、銀行にとっては「リスクはあるが、回収が早い案件」と見なされます。
銀行員の視点:
・経営者の機動力: 本部の看板よりも、オーナー本人が「万が一の時にどう動くか」という人間性や覚悟を見ています。
・流行による短命化: 投資額が少ない分、ブームが去った後にすぐ閉店してしまうのではないかという「持続性」を最も疑います。
融資を引き出す秘策:
ここでは「本部の凄さ」以上に、「低固定費による損益分岐点の低さ」を数値で説得してください。
「売上が3割落ちても、一人で運営(ワンオペ)できるから倒産しない」という、守りの強さをアピールするのがコツです。
また、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」などを活用し、自己資金比率を3割以上確保して見せることが、信頼を得る最短ルートになります。
3. アイス市場を一例に考える「季節変動」の回答術

例えば、2月に来客数が落ちるようなアイスクリームやスイーツなどの季節性がある商材を扱う場合、銀行員は必ず「冬場の赤字をどう補填するのか?」と質問してきます。
ここで「頑張ります」は禁句です。
・大型FCの場合: 「夏場の利益を内部留保し、年間の平均キャッシュフローで返済原資を確保する」という財務的な説明。
・小規模FCの場合: 「冬場はオペレーションを最小化し、固定費を下げきる。また、デリバリーやギフト需要など、季節に左右されない『第二の収益源』を具体的に用意している」という実務的な説明。
このように、規模に合わせた「リスクヘッジの正解」を提示することが、審査通過の鍵となります。
4. 銀行員が教えない「本当の投資効率」

銀行員は融資の可否は判断しますが、そのビジネスがあなたにとって「本当においしい投資か」までは教えてくれません。ここで重要になるのが投資利益率(ROI)の視点です。
投資利益率 = 年間の純利益 ÷ 初期投資額 × 100
・大型FC: 投資額1億円で年利1,000万円なら、ROIは10%。回収には10年かかります。
・小規模FC: 投資額1,500万円で年利500万円なら、ROIは約33%。わずか3年で回収が可能です。
銀行は「10年かけて確実に返してくれる大型案件」を好みますが、事業主としてのあなたのQOL(生活の質)を考えれば、「3年で投資を回収し、次の展開へ進める小規模案件」の方が、2026年の不安定な経済下ではリスクヘッジとして機能する場合も多いのです。
5. 結論:自分の「器」と「出口」に合わせた選択を

大型FCへの融資は、「資産を守り、育てるための融資」です。一方、小規模FCへの融資は、「機動力を持ってキャッシュを生むための融資」です。
2026年の融資審査を勝ち抜くためには、まず自分がどちらのゲームをプレイしているのかを明確にし、銀行員が求める「正解のキーワード」を事業計画書に盛り込むことが不可欠です。
ネームバリューだけで選ぶのではなく、初期投資と回収スピード、そして自分のライフスタイルに合った「借入の形」を設計すること。それが、独立開業という大きな投資を成功させるための、最初の、そして最大の戦略となります。