近隣に競合店ができても焦らない。「安売り」ではなく「体験価値」で勝つための差別化戦略

「せっかく軌道に乗ってきたのに、すぐ近くに似たような店ができた……」

飲食店経営において、これほど胃が痛くなる状況はありません。

特に「夜アイス」や「スイーツ」のようなトレンド性の高い業態では、後出しの競合店が資本力を武器に近隣へ進出してくる、いわゆる「カニバリ(共食い)」のリスクが常に付きまといます。

しかし、2026年現在の成熟した市場において、競合店の出現は必ずしも「ピンチ」ではありません。むしろ、自店のファンを強固にし、ブランドの輪郭をはっきりさせる絶好の機会です。

本コラムでは、近くに競合店ができた際、絶対にやってはいけない「安売り」の罠と、お客様の浮気を防ぐ最強の防波堤となる「体験価値」の差別化戦略について解説します。

恐怖

競合店がオープンし、一時的に客足がそちらへ流れると、多くの店主が焦って「期間限定セール」や「値下げ」に踏み切ります。

しかし、これはワンオペや小規模店にとって、最も選んではいけない戦略です。

資本力には勝てない: もし競合が大手資本であれば、価格競争で勝てる見込みはありません。彼らは赤字を出してでも市場を独占しようとします。

ブランド価値の毀損: 一度下げた価格を戻すのは至難の業です。また、「安さ」で集まったお客様は、さらに安い店ができれば即座にそちらへ去っていきます。

利益率の悪化: 以前のコラムで触れた通り、小規模店の強みは「高利益率」にあります。客数を稼ぐために利益を削れば、忙しいだけで手元にお金が残らない、負のスパイラルに陥ります。

対策の基本は「戦う土俵を変えること」です。 価格ではなく、他では得られない「体験」で勝負する。これこそが生き残りの鉄則です。

フランチャイズ 初期費用

2026年の消費者は、「美味しいアイス」だけならコンビニでも買えることを知っています。彼らが専門店に求めているのは、お腹を満たすことではなく、「自分の感性が満たされる体験」です。

「カスタマイズ」がもたらす所有感

Cream Festの強みは、トッピングを組み合わせる「カスタマイズ体験」にあります。

参加型エンターテインメント: 決められたメニューを選ぶだけでなく、「自分だけのオリジナル」を作るプロセスそのものが楽しさになります。

・失敗のない贅沢: スタッフが目の前で、顧客が選んだこだわりのトッピングを丁寧に盛り付ける。この「自分のために作られている時間」は、規格化された競合店では提供できない価値です。
人は、自分が意思決定に関わったものに対して、強い愛着(所有感)を感じます。この愛着こそが、他店への浮気を防ぐ最強の心理的障壁となります。

人件費

「近くの競合店の方が、内装が豪華でスタッフも多い」――それでも、お客様があなたのお店を選び続ける理由。それは、「あなた(もしくは、スタッフさん)という人間がいるから」です。

サービスではなく「コミュニケーション」の価値

ワンオペレーションは、効率化だけが目的ではありません。「店主と顧客が直接つながる」ための仕組みでもあります。

認知の喜び: 「いつもありがとうございます」「今日はこのトッピングがおすすめですよ」といった一言。自分のことを覚えてくれている店には、人は何度でも通いたくなります。

ブランドの擬人化: 競合店がマニュアル通りの接客をする中、店主の想いやこだわりが伝わる会話があれば、お店は単なる「飲食店」から「応援したい存在」へと変わります。

「美味しいアイス」は真似できても、「あなたとの会話」は競合店には絶対に真似できません。

フランチャイズ 活用術

競合店が現れた際の、二つの戦略の差を表で比較してみましょう。

項目価格競争戦略(失敗しやすい)体験価値戦略(Cream Fest)
主な対策値下げ、クーポン配布限定トッピング、接客の強化
ターゲット安さを求める浮気層価値を認めるファン・リピーター
顧客心理「あっちの方が安いから行く」「この体験はここでしかできない」
利益構造売上が増えても利益は減る高単価・高利益を維持できる
長期的な結果消耗戦の末に廃業地域一番の「愛される店」に
コンサルティング

最後に大切なのは、競合店を敵視しすぎないことです。

近くに同業態の店ができるということは、そのエリア全体が「アイスクリームを食べに行く場所」として認知されるチャンスでもあります。

ハシゴ需要の創出: 競合店に行ったお客様が「あっちも行ってみよう」と興味を持つきっかけになります。

自店の個性を研ぎ澄ます: 競合店があるからこそ、「うちはよりリッチな素材にこだわろう」「うちはより会話を大切にしよう」と、自店の強みが明確になります。

競合店が「効率」や「安さ」を追求するなら、Cream Festは徹底的に「リッチな体験」と「パーソナルな繋がり」を追求する。この軸さえぶれなければ、カニバリに怯える必要はありません。

実はCream Festの住之江本店では、半径1キロ以内に過去数年で3店舗競合店と言えるお店ができました。

そのたびに来店数は増え、そして、今ではそのうち競合だった2店舗はなくなっています。そしてお客様の数はCream Festのみ増え続けています。

このように、そのエリア全体が「ソフトクリームのお店に行く」という習慣が競合店によって作られ、そして「Cream Festというお店があるんだ」と知るきっかけになり、リピーターとして定着するようになったというわけです。

ビジネス 選択

競合店の出現は、あなたの経営の健康診断です。

もし、お客様が価格だけで動いてしまうなら、それはまだ「体験価値」が十分に伝わっていない証拠かもしれません。

「ここでしか味わえない一杯」と「あなたに会いに来る理由」を作る。

2026年の過酷な市場で、最後まで生き残り、笑い続けるのは、目の前のお客様一人ひとりと真摯に向き合い、独自の「体験」を提供し続けるお店です。


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